出生率が歴史的に低いレベルまで下がったフィンランドの育児政策を「少子化対策」として報じたNHKのトンマな番組については先日書きましたが、今回は子供が増えたという話です。
昨年(2016年)6月に行われたUEFA欧州選手権で、初出場のアイスランドが強豪イングランドを 2-1 で倒し、サッカーファンを大いに沸かせました。
その大金星の日から9か月目に当たる今年3月、レイキャビックの大学病院で多くの硬膜外麻酔が使用された、と英紙 Telegraph が伝えています。
Birth record in Iceland hospital… nine months to the day since win over England at Euro 2016 https://t.co/2F7IacpeaM pic.twitter.com/lZBWfQwppg
— Telegraph Football (@TeleFootball) 2017年3月28日
(日本語版はこちら)
つまり、分娩の際妊婦に投与される麻酔薬が大量に使われたから子供がたくさん生まれているだろう、という話ですね。
初出場でイングランドに勝つなんて確かにすごいですよね。勝利の夜は「アイスランドすごい!俺たちすごい!」とさぞかし盛り上がったことでしょう。これで本当にベビーブームになったら、愛国心で子供が増えた、と言えるかもしれません。
(Telegraphの記事は「子供が生まれた」とはっきり書いていないのがちょっと不安ですが。)
次は経済危機。
アイスランドが2008年のリーマンショックの影響で経済危機に陥ったことはご存知だと思いますが、その10か月後にベビーブームが起きていたそうです。
また、2012年末時点でこんな証言がありました。日本人にとってはよだれが出そうな情景。
もう一つ!アイスランド、子どもだらけ。どこにいっても子ども、子ども、子ども。ベビーブーム。人口をトリプルにしたいと。つたないアイスランド語で最大限奮闘。牛乳を飲みたいと言っているのがわかったとき、ちょっと感動した。異星人のお姉さん。
— yurikokoro (@yurikokoro83) 2012年12月28日
ただ、本当に経済危機がきっかけになったかというと、経済危機になる前からベビーブームだったという話もあるので検証が必要です。
このアイスランドのケースだけで、愛国心や経済危機が子供を増やした、と決めつけることはできません。でも、このような子供が増えたというケースこそ、議論や検証の価値があるというものです。
なにも出生率の下がっている国の育児支援策を持ってくることないじゃないですか。
それとも、「愛国心が出生率を上げた」なんて “危険思想” はNHKでは放送できませんか?