ウソが多すぎるフィンランド情報

 

これまでもフィンランド関連のフェイクニュースを数々取上げてきましたが、いろいろ進展や発見がありましたので報告します。

 

*ハフィントン・ポストのフェイク・ニュースをよそに、下落を続ける出生率

 

フィンランドの育児政策ネウボラが “出生率を伸ばした”、というハフィントン・ポストのフェイクニュースについては書いたのは、もう2年近く前になりますが、あれ以降もフィンランドの出生率はどんどん下がり、とうとう日本に追いついてしまいました。グラフにすると、以下のような感じ。
日本の2018年の出生率はまだ発表されていませんが、もしかするとフィンランドに追い越されている(つまり、フィンランドの方が低くなっている)かもしれません。

しかし、これを見ると、ハフィントン・ポストのフェイクニュースが出た2015年は、出生率急落の真っ最中。調べもしないで “出生率を伸ばした” とかテキトーに当てずっぽうを言っていたのがよく判りますね。

この急激な出生率の低下を受けて、フィンランドの政界や言論界は、「年金どうする」とか「移民をどうする」と議論が百出し、ほとんどパニック状態です。

 

これからいろんな政策が出てきて、少子化対策が本格化するでしょう。ハフィントン・ポストは過去の記事を早く訂正しないと、フィンランドの少子化対策の取り組みを報道できなくなっちゃいますが、それでもいいんですかね?

まぁ、次のBBCのように、過去をスカッと忘れて手の平を返すテクニックもありますが・・・・

 

*「ベビーボックスは危険」と言い出したBBCの手の平返し

 

5年ぐらい前、BBCが「フィンランドではダンボール箱(ベビーボックス)に赤ちゃんを寝かせているので乳児死亡率が低い」という記事を出したにも関わらず、その後「やっぱ、それって違うかも」と大幅にトーンダウンしたことについては、以前書きましたが、先日、とうとう「ベビーボックスに寝かせるのは危険」と言いはじめ、BBCは完全に手の平を返しました。

 

間違いに気づいても訂正せず報道被害を垂れ流すマスコミ界において、BBCほどの大手がこのような手の平返しをするのって、かなり珍しいことなのではないでしょうか。

潔いと言えるのかもしれません。でも、この “手の平返し記事” を書かせたのは、真実を追い求めるジャーナリスト精神などではなく、「もし事故があったらBBCのせいにされるぞ」という恐怖心だったと思います。そうに決まってます。

その証拠に、この記事は、当のBBCがベビーボックスを絶賛していた過去には触れておらず、「一体、誰がそんなデマを広めたのかしらね」と思わせるようなトボケた内容になっています。

でも、これマジで危ないんですよね。以下は、ベビーボックスを使用している夫婦の絵ですが、見てるだけでヒヤヒヤしませんか? 台所で何をさばいているのか知りませんが、皿がひっくり返ったらどうするんでしょう、ドリフのコントじゃ済まないですよ。

 

こんなことをしてる人がいたら「危ないわよ、奥さん!」って言ってあげるのが親切ってもんでしょう。「フィンランドでは云々・・・」とか「ネウボラが・・・」とか口答えしたら、頬を引っ叩いてでも止めさせなきゃいけないレベル。

 

そもそも、「ダンボール箱が乳幼児死亡率を下げた」なんて、真面目に耳を貸しちゃいけないトンデモ・ネタでしょ?そういうヨタ話しをなぜ真面目にしかも嬉々として取り上げたか、ということこそが問われるべき問題なわけですよ。
きっとBBCの中には、「フィンランドが間違ったことをするはずがない」という思い込みの激しい(けどちょっと足りない)記者と、北欧のイイ話しは “安牌” だからと、ノーチェックで通してしまうデスクがいるのでしょう。それが後の無様な手の平返しに繋がったのだと思います。

老婆心ながら、ハフィントン・ポストもそういう人材がたくさんいるのではないかという気がしますがどうでしょうか。

 

*マイケル・ムーア監督の映画に出てくる怪しいグラフもフェイクか

 

フィンランドの教育については、これまで何度も取り上げてきましたが、今回はマイケル・ムーア監督の「世界侵略のススメ」という映画についてです。「フィンランドには宿題がない!」という番宣キャッチフレーズが、フィンランド大使館に真っ向から否定されたことでも有名(?)な作品ですね。

まずは、以下の動画をご覧ください(冒頭だけで十分です)。

 

冒頭で「フィンランドは新手法を試した」というナレーションと共に、学力順位を示すカーブがギュイーンと上昇していくのが見えます。「スゲー!学力アップしてる!」と誰もが感激する印象的なシーンですが、このグラフが怪しいんですね。
(この話は、ある情報筋から聞きましたが、もしかすると既に誰かが指摘しているかもしれません。あまりにも初歩的なことなので)

 

フィンランドは、OECDのPISAという学力テストで1位になったことで有名です。このグラフでも、2000年に1位まで上昇していますが、PISAの結果を指しているのでしょう。

しかしながら、PISAは2000年に始まったテストであり、それ以前は行われていません。ですから、このグラフの2000年より前の部分は、他のテストのデータを使っていることになります。

 

つまり、あのギュイーンと上昇しているカーブは、データを他のテストからPISAに切り替えたから出来たものであって、学力が付いたことを示すものではありません。難しい駿○模試から易しい進○模試に変えれば、偏差値は上がるかもしれませんが、実力がついたわけじゃない、とか、そういうのに似てます。
っていうか、データが違うんだから、あのギュイーンは本来描いちゃいけない線ですよね。違う場所からデータもってきて勝手に線でつなげることが許されるなら、お星さまでも何でも描けるわけで、もうグラフじゃないっつーのw

 

(他のテストが何だったかは不明。もう一つTIMSSという国際学力テスト - フィンランドのほとんどの生徒が分数を理解してないことがバレちゃったテスト - があって、2000年より前の部分は、このTIMSSのデータを使った可能性もあります。しかし、それは作成者に聞かないとわかりません。)


映画のグラフは2000年で終わっていますが、PISAの全期間(2000‐2015年)におけるフィンランドの順位(科目別)をグラフにすると以下のようになります。映画化したくなるような感動的な曲線にはなりませんね。


ちなみに、第1、2回目あたりはシンガポールや台湾などのアジアの強豪国が参加してません。フィンランドが1位でいられたのはそれも大きな理由じゃないでしょうか。

このムーア監督の映画とは別に、PISAというテストそのものが怪しいという話しもあるのですが、それはまた別の機会に。

 

*「現地で見た」という人の話しが信用できない

 

マイケル・ムーアさんは、映画監督という以前に活動家なので、この人の作品を鵜呑みにするのはどうかと思いますが、この映画は、現地で取材しても編集次第でどうにでもなる、ということを示す好例なのではないでしょうか。

一般に、現地に行ったことのない人より、現地で見た人の意見の方が信頼される傾向にあります。だから、いい加減なことを言ってる人に対して「行ったこともないくせに」と文句言ってしまうことが私もよくあります。

しかし、フィンランドに関する限り、「現地で見た」人の話しがいまいち信用できないような気がしています(もちろん信用できる人もいますが)。

私は、フィンランドで少子化が問題になっていること、学校銃乱射事件が頻繁にあること、生徒のほとんどが分数を理解してないこと等を、現地紙やその他のソースで知りましたが、「現地で見た」人がこれらのネガティヴな問題について語っているのをほとんど聞いたことがないからです。

でも、よく考えればそれも当然かと思います。
フィンランドに行こうと思う人は、前もってイイ話ばかり吹き込まれているわけで、「フィンランド “から” 学ぶ」という方向にマインドセットされています。それに加えて、帰国したら「みんなに一目置かれるかも、ウフフ」とか「日本の愚民どもに説教してやるぜ!」みたいなスケベ心だってあるでしょう。

そんな人が、現地でネガティブな現実に遭遇したら、きっと目を逸らしてしまうに違いありません。人間、そんなに強くないですから。

 

以上、ハフィントン・ポスト、BBC、マイケル・ムーア監督、の3つの事例を見てきましたが、そろそろ、北欧礼賛記事が多い理由、フェイクであっても礼賛記事にしがみつく人が多い理由、北欧のネガティブな事実を隠す理由、について考えてみるべきときだと思うのですが。

以上

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