外国のことを引き合いに出して、何かを主張したり批判することってありますよね。「アメリカでやってる」とか「ドイツから学べ」というアレです。
日本人は海外の話に弱いと思っている人は多いと思いますが、外国でも「日本に学べ」みたいなのがありますから、お互い様なのかもしれません。
ともかく、そういうときに使用されるワンランク上の国がやはり北欧ですよね。
でも、最近北欧ブランドに頼り過ぎた記事や番組が目立ちます。そういう安易な記事や番組を作るのはたしかに楽ですが、楽をすればやはりボロが出ます。
そんな杜撰な番組作りの好例がNHKにありましたので紹介します。
ひとつは「先読み、夕方ニュース」です。
公開!『 特集、日本でも広がり始めるフィンランド式子育て支援策“ネウボラ”」 』
→ https://t.co/dcRECSF9Gv#nhk_yugatanews #radiru— NHKR1『先読み!夕方ニュース』 (@nhk_yugatanews) 2017年2月13日
(番組のリンクはこちら)
番組の紹介文では「深刻な少子化に悩む日本にとって大事な取り組みがネウボラ」なんて書いてありますが、前にも指摘したように、フィンランドの出生率は歴史的低水準になっています。
フィンランド:2015年の出生数は55,472で前年より1,760人減少した。大飢饉の発生で出生数が一時的に減った1868年以来の歴史的低水準。特に地方での出生率の低下が顕著。記事では要因に触れていないが、経済低迷はその一つだろう。https://t.co/EjnPZzY9YE
— スウェーデン政治経済情報 (@sweden_social) 2016年4月14日
北欧ブランドに頼り切っちゃって取材も調査もしてないんですかね。
もうひとつは、教育テレビのハートフルネットTVです。
NHK Eテレ 04/12 13:05 ハートネットTV「相模原事件を受けて 精神医療(2)オープンダイアローグ」 #nhketv #nhk_heart https://t.co/RUyOg5py4l
— NHK Eテレ(教育テレビ) (@NHK_ETV) 2017年4月12日
(番組のリンクはこちら)
番組の紹介文に相模原事件が出てくるので、外国の無差別殺傷事件について少しは言及があってもよさそうなものですが、そういうものはなく、フィンランドで行われているオープンダイアローグという精神療法の紹介だけでした。
「相模原事件を受けて」、この精神療法を成功例として紹介すれば、当然、「これを導入すれば無差別殺人はなくなるよ」というメッセージになるわけですが、どっこいフィンランドは無差別殺傷事件のかなり多い所です。
「教育大国フィンランドで若者の学校襲撃が止まらない」の記事で紹介したように、若い女の子が学校襲撃を企てたりしているわけで、こういう事実を知ってしまうと、「その療法って本当に成功してんの?」って、むしろ疑問に思ってしまいますよね。
ネウボラもオープンダイアローグもそうですが、都合の悪い事実を無視して(あるいは隠して)「成功だ!」とか「必要だ!」とか騒ぐのがパターンになっていませんか?これでは今流行りのフェイクニュースでしょう。
ブランド力に頼ることは、「北欧出しときゃいいだろ」とか「どうせわかりゃしねーよ」という視聴者を舐めた態度と紙一重です。悪用していろんなものをねじ込んでくる人もいますので、ご注意を。
どうもフィンランドネタが多くなってしまうのですが、今一番マスコミに使い回されてるんで仕方ないです。
実はまだあるんですよね。
斎藤環さんが提唱し、周りの心理学や福祉方面が夢を見てる印象 オープンダイアローグ