ニッポン放送のホープ、飯田アナが幼子を連れてフィンランドに行ったそうで、そこでの体験をレポートしています。
せっかくの休暇をブログネタ探しに使うなんて、仕事熱心で本当に頭が下がります。
ただ、レポートの内容は残念と言わざるを得ません。
そのレポートで飯田アナは、フィンランドの子育て支援が少子化対策に効果的、みたいに言っているのですが、以前にも書いた通り、フィンランドの出生率は歴史的低水準に落ち込んでいます。
フィンランド:2015年の出生数は55,472で前年より1,760人減少した。大飢饉の発生で出生数が一時的に減った1868年以来の歴史的低水準。特に地方での出生率の低下が顕著。記事では要因に触れていないが、経済低迷はその一つだろう。https://t.co/EjnPZzY9YE
— スウェーデン政治経済情報 (@sweden_social) 2016年4月14日
そして、今年上半期、さらに大幅下落してしまいました。
フィンランド:今年前半の出生率が前年同期比で7%下がり、年単位の出生数は5万人を切る見通し。1868年の大飢饉以来の事態となる。専門家は経済低迷による出産延期と、子や家族より自身の人生を優先する傾向が特に男性で強まっていることを指摘。https://t.co/CVkIdZcGdG
— スウェーデン政治経済情報 (@sweden_social) 2017年7月9日
さすがに、これほど出生率が落ちている国を少子化対策の模範とするべきではないでしょう。むしろ議論するべきことは、「社会全体が子供の誕生を歓迎している」のになぜフィンランドの出生率が下がるのか?という問題ですね、こうなると。
少子化対策の模範にするなら、スウェーデンの方が出生率高いらしいので、そっちの事例を取材した方がいいと思いますよ。
スウェーデンの病院が一杯なので、フィンランドに行って出産する母親が増えている https://t.co/ef8RPQHwo7
— 北欧の理想と現実 (@yasemete) 2017年7月4日
あるいは、アイスランドはどうでしょうか? 最近ベビーブームが起こったらしいですから。
飯田アナは、毎日アクの強いコメンテータたちを相手にがんばっているだけに、今回のレポートは本当に残念です。
ところで、最近いろんなところで「経済成長や社会福祉の充実が出生率を上昇させる」みたいな話になってますが、どうも違和感があるんですよね。
覚えている人もいると思いますが、少子化が問題視されたのはごく最近のことで、以前は「人口爆発」の方が大問題でした。そして、経済成長や福祉政策は、人口爆発を抑える処方箋として語られてきた側面があります(労働力としての子供また将来の介護要員として子供の必要性を下げるから云々という理由)。
そして現在、私たちの問題意識は人口爆発から少子化へと正反対の方向へシフトしたわけですが、同じ処方箋でいいんですかね?便秘はとっくに治ってしまって今は下痢で困ってるのに未だに下剤を渡されている、ってことはないんでしょうか?
飯田アナの番組には経済の専門家も多く出演していますが、その辺のことをどう考えているのでしょうか。
経済成長はともかく、社会福祉が少子化対策に繋がるとはよく言われていますね。
確かにそれがどう影響するのかは直接証明しづらいですし、
そもそも厳密に語られる事はあまり無い気がします。